エフゲニー・キーシン ピアノリサイタル
※このイベントは終了しました。
この上ない感動の瞬間。世界最高のピアニストがアクロス福岡に登場!
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◆アクロス・ピアノセレクション2014◆
※14時から 当日券販売あり!
イベント詳細
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この上ない感動の瞬間。世界最高のピアニストがアクロス福岡に登場!
概要
会 場 | 福岡シンフォニーホール |
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入場料 |
【一般価格】 S席15,000円 A席12,000円 B席9,000円
座席配置図
【友の会価格】S席13,500円 A席10,800円 B席8,100円 【福岡グランドクラシックス2014 S席セット券】 全3公演 定価 27,500円 → 22,000円 ※S席セット券はアクロス福岡チケットセンター窓口と電話のみ販売 |
チケット |
アクロス福岡チケットセンター TEL:092-725-9112 チケットぴあ TEL:0570-02-9999(Pコード:216-837) ローソンチケット TEL:0570-000-407(Lコード:82182) |
曲 目 | シューベルト:ピアノ・ソナタ第17番 二長調 Op.53/D.850 スクリャービン:ピアノ・ソナタ第2番「幻想ソナタ」嬰ト短調 Op.19 スクリャービン:「12の練習曲」 Op.8より 第2番 嬰ヘ短調 第4番 ロ長調 第5番 ホ長調 第8番 変イ長調 第9番 嬰ト短調 第11番 変ロ短調 第12番 嬰ニ短調「悲愴」 |
お問い合わせ | アクロス福岡チケットセンター TEL:092-725-9112 |
プロフィール
音楽性、解釈の深みと詩的な資質、そして並外れた技巧によって、キーシンは最も才能あるピアニストのみに許される尊敬と賞賛を獲得している。常に世界中から求められ、アバド、アシュケナージ、レヴァイン、ムーティ、小澤をはじめとする多くの偉大な指揮者、及び世界中の主要オーケストラと共演している。
1971年モスクワ生まれ。6歳でモスクワのグネーシン音楽学校に入り、現在に至るまで彼の唯一の教師であるアンナ・パヴロヴナ・カントールに師事。10歳でモーツァルトの協奏曲(K.466)を弾いてデビューを果たし、その1年後には初のソロ・リサイタルをモスクワで行った。
まもなく世界でも活躍し始め、1988年にカラヤン指揮ベルリン・フィルとともに、チャイコフスキーのピアノ協奏曲を演奏し、全世界で放送された。1990年には北アメリカでもデビューし、メータ指揮ニューヨーク・フィルとショパンの協奏曲を演奏、カーネギー・ホールでは百周年の開幕を飾るリサイタルを行った。
世界中から数々の賞を授与されており、1987年ザ・シンフォニーホールのクリスタル賞、1991年イタリアのキジアーナ音楽アカデミーから年間最優秀音楽賞を受賞。その他にも、マンハッタン音楽大学から名誉音楽博士号、ロシア音楽界における最高の栄誉であるショスタコーヴィチ賞などを授かっている。
近年の主要オーケストラとの共演は、2010-2012シーズンはメトロポリタン歌劇場管、シカゴ響等と共演。2013-2014シーズンは、ロンドン響、フィルハーモニア管等と共演する予定。また2013年秋よりパリ、ローマ、ロンドン他ヨーロッパの主要都市、その後北米、アジアとリサイタルツアーを予定している。
名ピアニストの“幸せな変化”を体感する
エフゲニー・キーシンは、きっとまた、大きく変化しているはず。もちろん、良い意味で。
3年ぶりとなる今回の来日ツアーの曲目を見て、そして、同じプログラムで臨んだ3月のカーネギー・ホール公演の好評を耳にして、そう予感していた。そして、ツアー初日となる、大阪のザ・シンフォニーホールでのステージ。ホールを埋めた聴衆の大きな拍手の中、柔らかな微笑を湛えて現れたキーシンが、シューベルトの大作・ソナタ第17番の冒頭のD-durの主和音をホールに響き渡らせた瞬間、その思いはたちまち確信へと変わった。
第1楽章はスタートダッシュも鮮やかに、早めのテンポ取りならではの強い推進力で突き進む一方、深い彫琢が施され、性急なイメージを全く与えない。祈りにも似た第2楽章では一転、深い思索の森へと分け入り、第3楽章では喜びを全身で表現。最終楽章で連なる左手の四分音符は、ひとつひとつが違った個性を持ち、くるくると舞い踊るかのよう。元よりキーシンは、聴衆の心を掴む天賦の才に恵まれたピアニストだった。だが、こんなにも、宇宙のように広大な精神性を湛えていたとは。
演奏中のキーシンは額を寄せて鍵盤をじっと見つめたかと思うと、まるで啓示を受け止めるかのように、天を仰ぐ。その唇は、音楽をなぞってゆくかのように、常に動いている。そして、時に感極まり、遂には大声さえ漏らす。しかし、その声も、あるいは、硬質なタッチを求める際に鍵盤が発するコツコツというノイズすらも、すべてが音楽の内側にある。いや、もはやキーシンは、作品の内側から、聴衆の1人1人に語りかけて来ているのだ。そして、村上春樹が愛情と皮肉を込めて「天国的に冗長」と評したソナタは、聴衆の“次に響く音楽”への期待を煽り、やがて「天国的な愉悦」の衣を纏ってゆく。
後半に置かれた、スクリャービンの作品でも、そのスケールの大きさと繊細さの両方が、如実に感じ取れる。明確なコントラストに彩られた「幻想ソナタ」では、そのコントラストをつぶさに表現するのみならず、随所に淡いグラデーションを施される。一方、作曲家がお互いの楽曲に糸を張り巡らせるように構成した「12のエチュード」は、あえて7曲の抜粋とすることで、キーシン自身が自らの中で咀嚼し、その糸を巧みに組み替えて、新たな曲集として再構築、聴衆へと提示してみせる。
エチュード第12番「悲愴」の三連符の嵐が収まった時、ステージでは、ひとつの長い旅を終えたかのように充実した微笑を浮かべたキーシンが、爆発的な拍手と歓声に包まれていた。
もう一度、言おう。キーシンのピアニズムは、また大きく幸せな変化を遂げた。そして今こそ、彼のステージを聴くべき時だろう。いや、今回の日本ツアーのわずかな間ですら、きっと彼のピアニズムは、さらに進化してゆくはず。それを確かめるのは、他ならぬ、あなた自身である。
2014年4月13日 寺西肇(音楽ジャーナリスト)
アンコール曲目紹介
1 J.S.バッハ(ケンプ編曲)/「シチリアーノ」
2 スクリャービン/8つの練習曲第5番 Op.42-5
3 リスト/ハンガリー狂詩曲第15番「ラコーツィ行進曲」