アクロス福岡では、開館20周年を迎えるにあたり、歌舞伎の中村福助さん、作曲家の菅野由弘さん、ヴァイオリニストの大谷康子さん、三味線の常磐津文字兵衛さんという4人のアーティストがはぐくんできた構想を札幌コンサートホールとサントリーホール共同で舞台化することになりました。
そのテーマは「卑弥呼」。
中村福助さんにとっては、舞台化したい長年の夢でした。
そして西洋楽器と邦楽等を混在させたオーケストラで音を奏でてみたいという大谷さん、常磐津さんの想いを、菅野さんが譜面に書き起こした作品が、11月に上演する『古代祝祭劇「太陽の記憶―卑弥呼」』なのです。
だれも経験したことのない初めての音と物語の世界。
その中身を垣間見るため、作曲した菅野さんにお話を伺いました。
「物語は開闢の世界、いわゆる世界の始まりがあり、大地が形成され、やがて卑弥呼が生まれ、死を迎え、芦船に乗せられて葬送される。そして黄泉の国にたどり着くまでが第1部です。第2部は卑弥呼の復活を描きます。復活のイメージは、やはり天岩戸伝説だと思います。太陽が月の影に隠れる日蝕という現象の中で、人々は月に向かって祈りをささげ、やがて太陽とともに卑弥呼が復活する。
さらに今回は、洋楽器と邦楽器を混ぜた特別な編成で、ここまで大がかりなものはめったにありません。特にソロ・ヴァイオリンが活躍します。卑弥呼のイメージだけでなく、曲全体に重要な楽器の一つとなります。」
是非、この公演にかける熱い思いをご鑑賞ください。
( アクロス福岡プロデューサー 小牧達彦 )