4人の思いをかたちに

 札幌コンサートホール、福岡シンフォニーホール、サントリーホールによる共同制作で、今回、新作の世界初演となるこの企画は、中村福助(歌舞伎)、菅野由弘(作曲・指揮)、大谷康子(ヴァイオリン)、常磐津文字兵衛(三味線)四人の思いから生まれました。日本の芸術の原点に思いを馳せ、洋楽、邦楽、歌舞伎、舞踊といった多様なジャンルがコラボレーションした新たな芸術を創造したい、というものです。
 この企画に賛同した芸術家たち、堤剛(チェロ)、宮田まゆみ(笙)、一噌幸弘(能管)、石垣征山(尺八)、首藤久美子(琵琶)、黒川真理(箏)らをはじめ、コントラバスやパイプオルガン奏者、聲明が奏でる音楽に、中村福助(演出)、中村児太郎(舞踊)の親子競演が加わります。
 日本が世界に誇る芸術家により、洋の東西、時代を横断した編成で音楽が時にダイナミックに、時に静かに響き、その音楽と密接な関係性を持つ新しい身体表現「古式歌舞伎の舞」が大いに歌舞います。

 「太陽の記憶―卑弥呼」の制作は、時代やジャンル、様式の異なる伝統芸能が一堂に会して祝祭空間を創り出したい、という願いに基づいています。東日本大震災により多大な影響を受け、いまだ閉塞感から抜けきったとはいえない日本を、“音楽の力”で元気にしたい、という想いをこめて、この共同企画を札幌、福岡、東京から発信します。