下絵をもとに、布や綿を使い立体的に盛り上げる「押絵細工」のことを福岡では「おきあげ」と呼びます。その昔、女の子が生まれると新春のお祝いに羽子板を贈る習慣がありました。羽子板は、羽を突いて災いをはねのけ健やかに育ってほしいとの願いが込められている厄よけの縁起物です。
明治から昭和にかけておきあげは大変流行し、ひな祭りにはひな段に手作りのおきあげ人形を飾りました。博多では娘たちのたしなみとして、生け花やお茶、裁縫の次におきあげを習っていたものです。また、人気歌舞伎役者の団十郎や菊五郎などをモデルにした粋で華麗な羽子板は、大変な人気だったと言われています。