大野和士指揮 東京都交響楽団 福岡特別公演
※このイベントは終了しました。
音楽監督に就任した大野和士が自信を持って贈るオール・ブラームス・プログラム。
本公演に出演を予定しておりましたピアニスト、ニコライ・ルガンスキーは、急病のため、来日を断念せざるを得なくなりました。代わりまして、シュテファン・ヴラダーが出演いたします。なお、曲目および他の出演者の変更はございません。
※14時~当日券販売あり
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「これがブラームス これぞ大野=都響の世界」
冒頭から、内に外に烈しい響きが舞う。まずはオーケストラが魅せる。知将大野和士のタクトに導かれ、好調東京都交響楽団(都響)がロマンの息吹を、うねりを帯びた調べを奏でる。これがブラームス。これぞ大野=都響の世界。皆様、開演に遅れなきよう。
30年以上前に都響でデビューを飾った大野和士が、2015年4月、音楽監督として帰ってきた。以来、このコンビへの喝采、関心は尽きない。
「都響のソノリティ(音色)は、ここへきて、ますます広がりを見せています。音圧も素晴らしい。この頃、物理的な音響を超えた、情念的な波長を出せるようになったと思います。(わたくしと行なった)2015年のヨーロッパ公演の財産でしょう。ですので、聴き手の心にジーンと染み入る音圧、というのが正しいですね」
ブラームス若き日の「肖像」で、最初の大規模オーケストラ曲でもあるピアノ協奏曲第1番ニ短調作品15、それにブラームス芸術の美しき夕映えを感じさせる交響曲第4番ホ短調作品98を聴く。
ドラマティックな楽の音はもちろん、祈りの情趣、フーガやパッサカリアの筆致を仲立ちに、作曲者のバロックへの想いも感じさせる、美しい選曲だ。
ホールを満たすのは古典の美か、それともマーラーや新ウィーン楽派を「予告」する管弦楽の精髄か。古き良き時代への郷愁も近未来もキーワードとなる。
作品に尽くすロシア流儀の貴公子で、ドイツ・ロマン派と相思相愛のピアニスト、ニコライ・ルガンスキーの登場に小躍りしているファンも多いことだろう。
春、私たちはルガンスキー、大野和士、東京都交響楽団の環に抱かれるのだ。
奥田佳道(音楽評論家)
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