提灯バッグ - 受け継がれる伝統 - アクロス福岡
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受け継がれる伝統

提灯バッグ

提灯バッグ
▲イラスト・有馬沙里 ▲提灯バッグ

県内でも特に伝統工芸品の数が多い地域が八女エリアだ。八女手漉和紙に始まり、八女提灯、八女福島仏壇、八女石灯ろう、八女竹細工、八女矢、八女和ごま・・・全国区となった「八女茶」という農産物に負けず劣らず、知名度の高い伝統工芸品が多い。なかでも八女地方の竹や澄んだ水から生まれる和紙、絹などの素材から生まれる「八女提灯」は、筑後文化の粋を集めた工芸品として、これもまた全国区の知名度を誇っている。

「それでも年々生産量や売上は落ちてきているのが現状です。若い方に『お宅に提灯はありますか?』と聞くと、『ない』と答えられることが多い。生活様式も住宅事情も変わってきているので無理もないことかもしれません。しかしどうにか、この伝統工芸の火を絶やさずに人目を引くことができないか・・・と考えて生まれたのが、この提灯バッグなんです」とお話しくださったのは、八女商工会議所所長の下川智之さん。伝統産業品の売上の低下を目の当たりにして、「このままではいけない」と自ら陣頭指揮を執り工芸品の新しいコラボ商品を数多く手掛けてきた先駆者だ。

「デザイナーに提灯の全産地を見てもらい、何かできないか相談し続けてきました。そのとき生まれたのが、蛇腹で折りたためる特性を活かしたこのバッグ。完成までに3年を費やしましたが、目の細かい絹の美しさを最大限活用した斬新なものができあがったと思います」

提灯の胴体部分をそのままバッグの外装として使い、提灯のように伸縮するとともに内部の巾着の柄が透けてみえるようになっている。和装はもちろん、洋装にもしっくりとくるデザインが面白い。

「提灯のように、昔から日本の生活習慣に溶け込んでいたものが徐々に少なくなっていくのは寂しいことです。しかし指をくわえてその状況を眺めているわけにはいかない。少しでも新しい層にその存在を知ってもらうためにも、起爆剤となるものを作り続ける必要があるのかな、と思っています」

(文・上田瑞穂)

  • お問い合わせ先:八女商工会議所 
    TEL:0943-22-5161
    【展示・販売】

    八女伝統工芸館
    (月曜定休・祝日の場合は開館)
    八女市本町2-123-2 
    TEL:0943-22-3131