小倉織 - 受け継がれる伝統 - アクロス福岡
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受け継がれる伝統

小倉織

小倉織
▲イラスト・有馬沙里 ▲小倉織

江戸初期から昭和の初期にかけて、豊前小倉藩の特産品であった小倉織。生地の厚さとたて縞のデザインを特徴に持つこの木綿布は、その優れた強度を生かして、江戸時代には武士の袴(はかま)として、そして明治以降は学生服の生地として用いられてきた。デザインの良さや丈夫さなどから九州のみならず、江戸や京阪にもその人気が広まったという。しかしその後、袴の需要がなくなったり学生服の形態が変ったりしたことにより、昭和初期にはその生産が途絶えてしまった。この小倉織の数十年ぶりの復活に挑んだのが、当地出身の染織家・築城則子(ついき のりこ)さんだ。

「ある時、骨董店で小さな端切れに出合いました。木綿布なのにごわごわした素朴な質感ではなく、独特の艶があることにひかれて尋ねてみたら、昔隆盛を極めた小倉織だという。たまたま心ひかれたものが、自分の地元の伝統工芸品であったことに驚きを覚え、また縁を感じました」

そうして築城さんはこの復元を決意する。現代にも通じる普遍的なたて縞のデザイン、自然素材なのに丈夫だという生地の強さ、そして何より上品で艶のある小倉織本来の美しさ。1984年に帯として、再び小倉織をこの世によみがえらせた。そしてその人気は30年を経て、着実に定着しつつある。

「パッと見て『小倉織だ』とわかる、他に類を見ないオリジナリティがあるからこそ、多くの方に受け入れられたのかもしれません。この特色を守り続けてくれた土地の先人たちには感謝と尊敬の念でいっぱいですね。復活させた私の役目は、再びこの火を絶やすことなく、生きている時代のなかで精いっぱいの仕事をすること。一つひとつ草木染めをし手織りで作る良さは格別ですが、一方で価格はどうしても高くなります。インテリアなどにも用いられる汎用性と、世界で通用する商品力を確信して2007年には縞縞ブランドで機械織りも始めました。機械織りにすると比較的手軽なものも作ることができる。ものによって、手織りと機械織りをバランスよく使い分け、多くのニーズに応えることも重要だと思います。まっすぐに伸びていくたて縞を扱っているだけに、私の頭くらいは柔軟にしておかなきゃいけないですよね(笑)」。

(文・上田瑞穂)

  • 遊生染織工房(ゆうせんしょくこうぼう)
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