博多人形 ナッティーラビット - 受け継がれる伝統 - アクロス福岡
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受け継がれる伝統

博多人形 ナッティーラビット

博多人形 ナッティーラビット
▲イラスト・有馬沙里
 ▲博多人形 ナッティーラビット

福岡のみならず日本の美を代表する存在として、国内外から高く評価されている「博多人形」。約800年の歴史を持つというこの工芸品にも、新しい動きが生まれている。

松尾吉将さんがアパレルメーカー「天空丸」と共同で生み出した「ナッティーラビット」はこれまでに見たことのないスタイルの博多人形だ。博多人形には七隈(福岡市城南区)で採れる土を使う、800~900℃という高温で焼くなど、さまざまな定義づけがなされているが、それらに全て従った製法で、斬新な形を完成させた。いわば現代ファッションと伝統工芸の融合だ。

「薬院にある天空丸の直営店には以前からよく足を運んでいました。藍染めや和柄を使ったアパレル商品が面白いお店だな、と。大学卒業と同時に博多人形師であった父に師事し、本格的に修行を始めたのですが、あるとき若手の登竜門といわれる与賞を受賞して、新聞に掲載されました。その時天空丸の服を着て写っていたんです。たまたまそれを天空丸のオーナーが見ていたらしく、次にお店に行ったときに声をかけてくださって。感覚が合う若手の博多人形師を探していた、一緒になにか面白いものを作らないかと」

こうしてショップオリジナルの博多人形を作るというプロジェクトが始まる。しかしセンスは合うものの、これまで全く違う業界で生きてきた二人の意見はぶつかり合ったという。

「博多人形はいかにリアルに、写実的に表現するかが肝。服のシワまで忠実に再現するのです。それに対して先方からは、逆に手作り感が残るようもっと素朴にという注文でした。ヘラの跡をわざと残すとか。最初は戸惑いましたね」

徐々にそれが “オリジナリティー” だと気付いていったという松尾さん。そうして生まれたナッティーラビットは、全く新しい、斬新な博多人形として好評を博した。

「博多人形業界全体の売上も伸び悩むというなか、こうした新しい風を入れて間口を広くしていくことも必要だと思っています。一方で、父が遺してくれたような従来の美しい博多人形を受け継いでいくことも重要な使命。両者をバランス良く取り入れて、次の世代へと伝えていくことも必要なんでしょうね」

(文・上田瑞穂)

  • ふみお人形
    販売先:ティグルブロカンテ 
    福岡市中央区警固2-3-26
    TEL:092-761-7666