八女福島小型仏壇 - 受け継がれる伝統 - アクロス福岡
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受け継がれる伝統

八女福島小型仏壇

八女福島小型仏壇
▲イラスト・有馬沙里
 ▲八女福島小型仏壇

八女地域には国指定の伝統的工芸品である仏壇と提灯の他にも、和ごま、八女矢、手漉和紙、竹細工・・・と実に多種多様な工芸技術が今も残されている。一説には、この地を統治していた有馬藩の年貢率が厳しかったために、百姓だけでは生活しきれなかった人々が工芸品を作って生活の糧とし、結果的に職人が多く輩出されるエリアになったという話もある。真偽のほどは定かではないが、工芸品数、職人数ともに全国的に見ても多いエリアであることは間違いない。そして、昔から受け継ぐ伝統工芸を生活様式の変化に合わせてアレンジできる寛容さをも持った地域だ。

華麗な金箔や蒔絵、美しい彫刻に宮殿、見事な漆塗りの技術。八女福島仏壇には1つの作品のなかに多彩な技が見られるが、実はこれ、全て別々の職人の手によるもの。完全分業制で作られ彫刻師、金具師、木地師、と呼ばれるプロたちが80以上にわたる工程をそれぞれ手掛けている。海外製品も増えているという仏壇業界だが、それらとの大きな違いを八女福島仏壇仏具協同組合理事長、井ノ口敬三さんが教えてくれた。

「プラスチックを接着して作っているような大量生産品と大きく違うのは、全て手作りで分解ができるということ。お手入れや修理に持ち込んでいただければ百年を超えても十分に美しい状態でお祀りいただけます。昨今の住宅事情に合わせて、お部屋になじみやすい小型仏壇も作っていますが、こちらは若いご家族にも人気ですよ」

その他にも、東日本大震災の際には仮設住宅に置けるくらいの、さらに小さな仏壇を職人たちが一致団結して作り、150台以上を贈った。一つひとつに魂を込め、丁寧に手作りされた仏壇は「全て絵柄も違い、気持ちがこもっていた」と被災地の方々からも喜ばれたという。その超小型仏壇はそののちメディアに取り上げられ話題となり、「脚が悪いので仏間まで行けない」というお年寄りが寝室用に求めるなど、広がりを見せているという。

伝統を守りながらも時代や状況に合わせて変化できる応用力、これこそが八女福島仏壇が受け継がれていく理由だろう。

故人の好きな花を蒔絵にするなどオーダーで作ることができるのも手作りならでは。

(文・上田瑞穂)

  • 八女福島仏壇仏具協同組合
    八女市本町2-123-2(八女伝統工芸館内)
    TEL:0943-24-3941