鍋島緞通 〜 絢爛な図柄と木綿の質感 職人の技が産む絨毯の美 - 伝統の技 - アクロス福岡
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伝統の技

鍋島緞通 〜 
絢爛な図柄と木綿の質感 職人の技が産む絨毯の美

重厚感とやわらかさを併せ持つ鍋島緞通
▲重厚感とやわらかさを併せ持つ鍋島緞通
ペルシャ、トルコ、中国の文化として日本にも伝わった絨毯。300年前、肥前の農民だった古賀清右衛門が織った「花毛氈」と呼ばれる鮮やかな色文様入りの木綿の敷物が、日本最古の絨毯である鍋島緞通のルーツです。鍋島藩三代藩主の綱茂候はこの優れた技術を保護し、御用品として藩内での生産を奨励します。緞通は江戸時代まで一般の売買を禁じられ、将軍家へ毎年献上されるなど重宝されることになります。現在ではその伝統の技を吉島家が継承し、戦後の一時期に久留米市に拠点があったことも由来して、福岡県知事指定特産工芸品に指定されています。

鍋島緞通の特徴は、素材の木綿にあります。鍋島藩が上質な綿を生産していた歴史的要素もありますが、ペルシャ絨毯の絹、中国の羊毛などと比べて肌触りが良く、高温多湿の気候に最適な末永く使える絨毯として人々に愛用されています。また中国由来の「雷文」「蟹牡丹」などと呼ばれる図柄の絢爛さも、鍋島緞通の魅力として親しまれています。

今回は緞通の織りの工程を特別に見学させていただきました。縦織と呼ばれる織り機に、上質の木綿で撚った縦糸を張ります。通常の一畳分だと250本の縦糸を丹念に並べ、緯糸を通すための『あぜ拾い』という工程を経て、いよいよ織りの作業に入ります。あらかじめ考案された図案を見ながら、縦糸に色の着いた織糸を絡ませ、片結びをしていきます。その段数は一畳分で315段、結びの数は58000にも及びます。織糸を一段結び終わると、緯糸を通します。織糸を押さえる役目もしている緯糸を、専用の道具である「締金」でしっかりと叩いて締め、織物の密度を均一に保ちます。「ご覧のように緞通の製造は、工程のほとんどが現在も職人の手に委ねられています。でもだからこそ、昔ながらの変わらない良さが守られてきたのかも知れませんね」という職人さんの言葉が印象的でした。

  • 問い合わせ先
    鍋島緞通
    吉島家・吉島家緞通ミュージアム

    住所:佐賀県佐賀市赤松町1-28 
    TEL:0952-24-0778
    ※ミュージアムでは、貴重な鍋島緞通が展示されており、鑑賞することができます。
    〈休日〉不定休 ※事前にご確認下さい
    http://www.nabeshimadantsu.jp
縦糸はその日の環境に合わせテンションを張り直します
▲縦糸はその日の環境に合わせテンションを張り直します
とても重要な道具の「締金」
▲とても重要な道具の「締金」
締金で均等にたたき密度をたもちます
▲締金で均等にたたき密度をたもちます
織糸をある程度の長さで切ります
▲織糸をある程度の長さで切ります
その後はさみで長さを1列ずつ揃えます
▲その後はさみで長さを1列ずつ揃えます