郷土玩具 きじ車 〜 素朴だからこそ忘れられない、思い出の玩具 - 伝統の技 - アクロス福岡
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伝統の技

郷土玩具 きじ車 〜 
素朴だからこそ忘れられない、思い出の玩具

手作業でノミを使って切れ込みを入れるのでひとつひとつが異なります
▲手作業でノミを使って切れ込みを入れるのでひとつひとつが異なります
北原白秋の詩にも詠われた九州独特の郷土玩具、きじ車。その歴史は古く、806年頃に伝教大師が唐から帰国の際に現在の清水寺がある山に導かれ、道に迷ったところで一羽の雉(きじ)が道案内をしたという伝説が由来となっています。原型が出来たのは150年以上前の文政年間で、当時の清水寺住職、隆安法師(りゅうあんほうし)が宮大工の井上嘉平次に指導し、制作させたものです。 開運、縁結び、家庭円満のお守り、玩具として親しまれたきじ車の文化は、さまざま形で岡県外にも広がりました。 現存や廃絶も含めて、大分や熊本などに約30ヶ所の産地があることが確認されています。

発祥となった清水寺のあるみやま市(旧・瀬高町)では、きじ車が現在も生産されています。 福岡県産品のものは赤松の枝木と竹が素材です。まずは準備作業として本体となる枝木を2寸から10寸まで、つくる大きさに合わせた長さに切断し、皮を剥ぎ、型に合わせながら丸鉋(かんな)で削り、筒状に整えます。次に頭部や背中、尾、車軸の部分などに印を入れます。そして成形。ノコギリやノミを使って雉鳥の形にします。きじ車には雄と雌があり、鞍があるものが雄、切れ込みだけのものが雌です。全て手作業のため、正確にはこの切れ込みはひとつひとつ異なり、大きな魅力にもなっています。それが終わると色付けです。雄は赤と緑、雌は赤と黒で、模様も異なります。特に雄の2色は仏教の世界観を象徴する色であり、木彫の素朴な魅力に溢れています。丁寧な二度塗りで仕上げた後に、竹の車軸と車が取り付けられ、きじ車は完成します。

すべて手作業で手間もかかるため、職人も生産量も少なくなりましたが、関東など遠方から昔懐かしい味のあるきじ車を求める人も多いそうです。また地元の小学生や一般の方への色付け教室が行われるなど、地域の伝統を守り伝えていく動きも始まっています

  • 問い合わせ先・見学先
    清水きじ車保存会
    (みやま市役所商工観光課内)

    みやま市瀬高町小川5番地 
    TEL:0944-63-6111

    きじ車製作所 きじ車 宮本
    みやま市瀬高町下圧2189 
    TEL:0944-62-2555
    電話予約をすれば見学可能です(作業の指定は不可)。またさまざまなきじ車の展示もあります。
伝統の技を生みだす使い慣れた道具たち
▲伝統の技を生みだす使い慣れた道具たち
赤と緑にはそれぞれ意味があり、一度には塗る事ができません
▲赤と緑にはそれぞれ意味があり、一度には塗る事ができません
各工程を一人で手作業で制作している宮本弥一郎さん
▲各工程を一人で手作業で制作している宮本弥一郎さん
雄(手前)と雌(奥)は形が違います
▲雄(手前)と雌(奥)は形が違います