津屋崎人形 〜 素朴な土人形に鮮やかな色彩が映える - 伝統の技 - アクロス福岡
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伝統の技

津屋崎人形 〜 
素朴な土人形に鮮やかな色彩が映える

招き干支は6代目である父との合作
▲招き干支は6代目である父との合作
ぬくもりの感じられる穏やかな形状と、鮮やかな色合いが目を惹く津屋崎人形。その興りは江戸時代と古く、津屋崎の焼物職人・卯七(うしち)が、動物や人形の焼物を作ったのが始まりと言われています。津屋崎人形は、今では珍しい『手押し製法』で作られる、数少ない土人形の一つ。『手押し製法』とは、粘土で作った生地を表裏2枚組の型に指でおしつけていく製造法で、素手で形成するため、焼き上がりがやや厚く、重くなるのが特徴です。焼き上がった際に割れないよう、粘土への空気の混入を手作業で防がなければならず、熟練の技を要します。

津屋崎人形が一般の土人形と大きく異なる点として、その鮮やかな色使いが挙げられます。土人形の多くが土の色を活かした配色で彩色されるのに対し、津屋崎人形は素朴な土人形を鮮やかに彩ることで、独特の美しさを表現。その希有な装いから、コレクターや海外の方にも人気です。初代卯七から数えて七代目にあたる、筑前津屋崎人形巧房の人形職人・原田誠さんが「せっかく飾っていただくからには、この伝統美を末長く堪能して欲しい。そのために、色の鮮明さが少しでも長く保つよう工夫をしています。」と言う通り、顔料の色がきれいに発色するよう、焼き上がった人形を一度すべて真っ白に塗る、顔料を使うことによって色にしっとり感を出すなど、製造過程のあちこちに『色』へ対する細やかな配慮がうかがえました。『焼き』から『塗り』まで、すべての工程を一人の職人が行うからこそ、その思いはひとしおです。

創立時から代々受け継がれて来た数多の型と、熟練の職人技を駆使しながら、その特徴的な伝統美を伝えてきた津屋崎人形。形は変わっても、その素朴さと可憐さは色あせることなく、受け継がれていくことでしょう。

  • 問い合わせ先・見学先
    筑前津屋崎人形巧房
    店舗と作業場が隣接しており、店舗からは土人形に色つけ作業をしている様子を見ることができます。
    福津市津屋崎3-14-3 
    TEL:0940-52-0419
今年の津屋崎祇園山笠舁き山も製作
▲今年の津屋崎祇園山笠舁き山も製作
先祖から伝わる型には60cmを超えるものも
▲先祖から伝わる型には60cmを超えるものも
作業場には色とりどりの顔料が並ぶ
▲作業場には色とりどりの顔料が並ぶ
一つひとつ手作業で色つけを行う
▲一つひとつ手作業で色つけを行う