#19 ステップガーデンの秘密⑤ - アクロス福岡
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探検!アクロス福岡

#19 ステップガーデンの秘密⑤

ステップガーデンの秘密⑤

自然の生態系を
可能な限り再現する
ステップガーデンの
“水回り”事情


いつも見ている建物だけど、実は意外と知らないことだらけ。そんな「アクロス福岡」の、一歩踏み込んだ“秘密”をご紹介する「探検!アクロス福岡」。第19回目は、「ステップガーデンの秘密⑤」です。

このコーナーでは何度か紹介しているステップガーデン。夏が過ぎ、秋にさしかかると紅葉の様子が垣間見られるようになってきます。人工的な建築物ではありますが、水やりをすることもほとんどなく、雨水だけで草木は成長しているという、まさに自然にとても近い状態です。一方で、人工土壌「アクアソイル」を用いてしっかりと保水しながら階下に少しずつ雨水を流している計算された設計と、九州各地の山々に育つ植物と同じものを植栽することで、生態系を壊さないことに配慮した植栽計画という大きな特徴も。

今回ご紹介するのは、「ステップガーデンの滝」について。ステップガーデンの最上階から階段を下りてくると、5階から1階にかけて4つの滝があるのをご存知でしょうか。実は、設計時に九州・福岡を代表する自然を再現するべく、七重の滝、菅生の滝、白糸の滝など複数の滝をイメージして、落水と岩のさまざまな表情を構成したのだそう。ステップガーデンに降る雨水は、前述のとおりアクアソイルを通して少しずつ階下に落とし、急激に水が増量することを防止しながら横を流れる薬院新川に排水していますが、この滝の水は、その水ではなく上水を使用しています。これはステップガーデンを訪れる人に万が一水がかかった際のことを考慮しているためで、滝の水だけ別の仕組みで循環させています。もちろん、上水ではありますが、山の中に滝を通すことで、植物や動物にとってもより自然の環境に近い状態が保たれています。こうした「人が訪れることに配慮した設計」でありながら、可能な限り生態系を守っているステップガーデン。ぜひ一度登ってみてくださいね。

(取材・文 後藤暢子/写真 田中紀彦)