#10 イベントホールのアートコンセプト - アクロス福岡
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探検!アクロス福岡

#10 イベントホールのアートコンセプト

イベントホールのアートコンセプト

500ものパーツが織りなす「アクロス福岡」の「誕生」


いつも見ている建物だけど、実は意外と知らないことだらけ。そんな「アクロス福岡」の、一歩踏み込んだ“秘密”をご紹介する「探検!アクロス福岡」。第10回目は、「イベントホールのアートコンセプト」です。

地下2階のイベントホールに入ってすぐ右手に拡がる大きな陶壁画。今年開窯50周年を迎えたうきは市の一の瀬焼・丸田窯の丸田巧さんの「誕生」という作品です。アクロス福岡の開館と同時にお目見えしたこの作品には、縁が繋がるステキなストーリーがありました。

アクロスの開館より遡ること数年前。とある一般住宅の外構に陶壁画を依頼されて製作していたところ、たまたまロケで通りかかったNHKのスタッフの目に留まり、その後現在のNHK福岡放送局2階の陶壁画のオーダーが入ります。この陶壁画を見た当時の福岡県庁職員が、新しく建設するアクロス福岡のイベントホールに陶壁画を検討していたことがこの作品が誕生するきっかけとなりました。当時、福岡でも陶壁画を手がける作家は少なく、かつてないスケールの製作依頼に、丸田さんも試行錯誤を繰り返したそうです。

建設時のアクロス福岡のアートコンセプトは「水と緑」。ステップガーデンをはじめとした館内の各所にそのコンセプトがちりばめられていますが、イベントホールもただの貸しホールではなくアートの香りが漂う空間にしたいという県の意向を踏まえ、「アクロス福岡の「誕生」の瞬間を表現しました」と丸田さん。11.5×3メートルの段ボールに図面を描き、500枚を越えるパーツに分解して型紙を製作。それぞれのパーツが焼成で縮むことも計算しながらの作業は、焼きあがって組み合わせるまでわからないことも多く、非常に神経を使ったといいます。

食器などの日用品を製作するのとはまた違った観点での作業は、丸田さんのその後の作品にも影響を与えている様子。500ものパーツで組み上げられた美しさをぜひ一度、間近で見てみてください。

(取材・文 後藤暢子/写真 田中紀彦)