宗像・沖ノ島と関連遺産群 <1> (沖ノ島) - 目指せ!世界遺産 - アクロス福岡
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目指せ!世界遺産

宗像・沖ノ島と関連遺産群
<1> (沖ノ島)

沖ノ島
▲1 沖ノ島

交通安全の神様として知られる宗像大社。大社でお祓いを受け、お守りを車のフロントガラスに付けている方も多いのではないでしょうか。この宗像大社で、毎年10月1日に行われる「みあれ祭」。沖ノ島の沖津宮と大島の中津宮の神様を九州本土の辺津宮にお迎えする神迎えの神事で、沖津宮、中津宮の神様を乗せた御座船を宗像七浦の漁船が鮮やかな旗やのぼりで飾り、総出でお供する、大船団の海上神幸です。この祭りは中世の神事を継承したものといわれ、その信仰の中心だったのが「沖ノ島」(写真▲1)です。

玄界灘の中央に浮かぶ“海の正倉院”

中国・朝鮮半島と活発な交流が行われた4世紀後半から9世紀末、九州と朝鮮半島の間の海域に位置する「沖ノ島」では、航海の安全と交流の成就を願う国家的祭祀が行われました。島内の祭祀遺跡からは銅鏡や金製指輪、金銅製龍頭、唐三彩(とうさんさい)、カットグラス碗片など国際色豊かな品々を含む約8万点もの奉献品が出土。福岡県世界遺産登録推進室の野木雄大さんは、「対外交流と信仰の発展の物証として、すべて国宝に指定され、“海の正倉院”と称されています」と、その重要性を語ります。

古代祭祀の変遷過程を伝える“神宿る島”

祭祀遺跡の学術調査は1954年に始まりました。その結果、23ヵ所の祭祀遺跡が確認され、祭祀の場は4世紀後半に巨岩の上で始まり(岩上(がんじょう)祭祀)、5世紀後半にせり出した巨岩の岩陰へ移り(岩陰(いわかげ)祭祀)、7世紀後半に岩陰から離れ(半岩陰(はんいわかげ)・半露天(はんろてん)祭祀)、8世紀からは巨岩から離れた平坦地へ(露天祭祀)と時期を追って変遷したことがわかりました。「沖ノ島は、自然崇拝に根差した信仰を伝える世界的にも珍しい存在です」と話す野木さん。この聖なる島に対する人々の信仰と「一木一草一石たりとも持ち出してはならない」「不言様(おいわずさま)」などの禁忌が、“神宿る島”「沖ノ島」の神聖性を守り続けています。沖ノ島で祭祀を行った宗像の海に生きる人々は、この後、沖津宮、中津宮、辺津宮の三宮からなる島伝いの壮大な「宗像大社」を成立させることになります。

次号は、この宗像三女神を祭る「宗像大社」を紹介します。

  • 宗像・沖ノ島と関連遺産群に関するお問い合わせ
    福岡県世界遺産登録推進室 
    092-643-3162
    ※「沖ノ島」へは、通常上陸できません。
  • 立ち寄りスポット
    宗像大社 神宝館
    沖ノ島出土の国宝の神宝類を展示しています。
    住所:福岡県宗像市田島2331
    営業:9:00~16:30(最終入館4時)
    ※年中無休
    拝観料:大人500円 高・大学生300円 小・中学生200円
    お問合わせ:0940-62-1311
    アクセス:
    JR「東郷駅」北口より「神湊波止場」行きバス (宗像大社経由)
    「宗像大社前」下車。約12分。
島内部へとつながる沖津宮参道入り口
▲島内部へとつながる沖津宮参道入り口
金製指輪
▲金製指輪。韓国慶州にある新羅(しらぎ)の王陵から出土した指輪と類似しており、新羅とのつながりを示している。
金銅製龍頭
▲金銅製龍頭。中国製とされる非常に精巧なもので、竿の先に取り付け口側から天蓋や幡を吊り下げる飾り金具
奈良三彩小壺
▲奈良三彩小壺。唐三彩の技術をもとに作られた、日本で最初の釉を用いた陶器。古代の対外交流の進展を物語る。