#37 イラストレーター アサノ マイコ - アクロス福岡
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伝えたい文化の魅力 NEO

#37 イラストレーター アサノ マイコ

イラストレーター アサノ マイコ

まさか絵を生業にするとは、学生時代までは露ほども思っていなかったですね。幼少期から絵を描くことは好きでしたが、だからといって美大を目指すとか美術学校に通うということはなく、普通の学生として進路も漠然と考えていました。色や装うことが好きだったので、メイクの学校に進み、卒業後は美容部員に。その後アパレルに転職しましたが、考えてみると、このころから人の顔や形を見るのが好きだったのかも。メイクをしたり洋服を考えたりといった、「女性の装い」に興味があったのかもしれません。ただし苦手だったのは、社会生活。会社組織で人と協調性を持って働くことにどうしても慣れなかったんです。社会適応性が低いのかな(笑)。仕事をしながら自分の人生を見直し、「これを一生続けるのは、何か違うな」と感じ続けていました。その時に自分が何をしたいかを自問したんです。どう働きたいのか、どう生きたいのか。その答えが、自分でも驚いたのですが「絵」でした。幼少期以降、まともに描いたこともないんですけど、やっぱり描くことが好きだと。何をしたらいいのかもわからなかったけれど、まずは画材を揃えるところから始めました。そして描いた絵をSNSに上げてみたんです。私がイラストを描くなんて知らなかった友人たちからは「驚いた」という反応とともに、「すごくいい」と評価ももらい、あっという間に輪が広がっていきました。飲食店などをしている知り合いや友人のお店で展示させていただいて、知り合いのそのまた知り合い…という形で縁がつながっていき、あらためてSNSの持つ力の大きさを知りましたね。この時から現在まで、自分から営業のような売り込みをしたことは一度もないんです。常に人の縁がつながって、先方からお話をいただけるのが本当にありがたいと思っています。一時は東京で活動しようかな、と迷ったこともあるんですが、こういう状況だからこそ、あえて東京にいなくても福岡で活動が十分にできるんですよね。オンラインで打ち合わせはもちろん、個展だってできる時代。
地方にいるデメリットを社会と技術の進歩がカバーしてくれ、好きな場所で好きな仕事ができるようになりました。いい時代に生きているな、と思います。
私の作品は女性をモチーフにすることが圧倒的に多く、赤で輪郭線を描くのが特徴で、一目ですぐにアサノマイコのイラストだとわかると言っていただけることが嬉しいです。とはいえ、変化もつけていきたいと思っているので、今後は動物や食べ物なども描いていきたい。ただし、根幹に流れるのは「私が好きな、かわいいものを描きたい」という欲望なので、そこは変わらないと思います。友達とご飯を食べたり、町を歩いたり、映画を観たりといった日常の中で出逢う「好きなもの」を、作品にし続けていきたいですね。

(文・上田瑞穂)

プロフィール 福岡県福岡市出身。アパレルメーカー勤務を経て、イラストレーターとして独立。「Hanako」「anan」をはじめとする女性誌とのタイアップ企画や、雑誌の表紙、書籍の挿絵など多方面で活躍中。博多大丸、CONVERS TOKYO、GU等多くの企業ともイベントなどを通してコラボレーションしている。福岡や東京を中心に、個展を不定期で開催。