#33 民謡・津軽三味線 馬場 美雅(ばば みか) - アクロス福岡
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#33 民謡・津軽三味線 馬場 美雅(ばば みか)

民謡・津軽三味線 馬場 美雅(ばば みか)

幼少期、祖母が趣味で民謡を習っていて、遊びに行くたびによく耳にしていました。なんとなく興味を持って「私もやってみたい」と言い出したのが4歳の時。大きな声を出して歌うのが楽しくて、すぐに夢中になりました。始めてから1年もたたない頃に、ばってん荒川さんが司会をされていたテレビ番組で、子ども大会があったんです。気軽に出場したら、なんと優勝してしまって。そんな幸運もあり、あっという間にこの世界に魅了されていき、5歳からは三味線も習い始めました。
私が4歳のときに妹が生まれたんですが、彼女は生まれたときから隣で姉が民謡を歌っている環境で育ったので、自然と民謡も三味線も始めることに。結果的に、「民謡の馬場姉妹」としてイベントなどにも招かれるようになりました。姉妹で活動していると、「名人の家の出身なのでは?」などと思われることも多いんですけど、私たちは二人とも自発的に始めたので全く家系は関係ないんですよ。珍しいとよく言われます。
大きな転機となったのは、平成15年。福岡県で行われたとびうめ国文祭の大使に選ばれたんです。これもきっかけは、自分から手を挙げたこと。各県で行われる国文祭ですが、福岡県は芸どころということで、当時の県知事が「一芸を持つ人を大使に選ぼう」という方針を掲げられました。それを耳にして、挑戦してみようと自ら選考に応募したんです。応募者が殺到したと後から聞きましたが、若い世代の民謡が珍しかったのか選んでいただき、その後のご縁が繋がっていきました。このときに、民謡を知らない多くの一般の方の前で演奏する機会がたくさんあり、皆さんの意外な反応を間近で見ることができたんです。意外だったのは、小さな子どもたちがノリノリで手拍子してくれたこと。昔と違って、今や民謡はテレビで流れることもないし、耳にしたこともない子も多いと思うんです。その子たちが、初めて聞いて、手拍子をしてくれる。これはすごいことなんですよ。その後海外に多く行くようになって気づきましたが、外国の方は民謡に手拍子を打つことができません。でも日本人は、小さな子どもでも自然と手拍子のタイミングがわかるんですよね。もしかしたら民謡の節回しは、DNAに刻まれているのかも…なんて思ってしまいます。国内でも海外でも、お囃子の練習をして一緒にかけてもらいますが、楽しそうにかけてくれるととても嬉しくなります。
前述したように、とびうめ国文祭以降は海外のステージに呼んでいただくことも増え、これまでに11カ国ほどで演奏しました。各国の反応はさまざまで面白いです。ベトナムのハノイで演奏したときは、若い男の子に「すごく日本が好きで、動画サイトで尺八を独学で学んだのでセッションしてくれ」と言われたり、台湾では即興で「涙そうそうを披露して」なんて頼まれたり(笑)。各国で日本の文化が親しまれている様子を見るのはとても嬉しいです。
海外でも楽しんでいただいている民謡ですが、残念ながら国内では教える人も習う人も高齢化が進み、将来への危機感も抱いています。私がそうだったように、若い世代に魅力を伝え、さらなる後進を育てるのも自分の役割なのかな、と思いますね。

(文・上田瑞穂)

プロフィール 福岡県八女市出身。4歳から民謡を、5歳から三味線を始める。平成15年津軽三味線髙橋流名取「髙橋浩雅」となり、同年福岡県知事よりとびうめ国文祭の「飛梅大使」の任命を受ける。第20回八女茶山唄日本一大会グランプリ受賞、日本民謡協会民謡民舞全国大会「内閣総理大臣杯」出場、日本民謡ヤングフェスティバル全国大会出場。ベトナム、タイ、フランス、台湾などでのステージを含め、国内外で活躍している。2020年10月からFM八女で「馬場美雅のしゃべっ茶Oh!」を担当。